PID制御



制御理論(古典)

PID制御設計

ゲイン設定方法
実験編
ステップ応答法

限界感度法
極配置法
考え方
P制御+1次遅れ

PI制御+1次遅れ

PID制御+2次遅れ
安定判別法:ボード線図
考え方

P制御+1次遅れ系

古典制御の応用

公開日:2016/11/04          

例えばモーターを使って円盤を回すような機構があり、円盤を狙いの回転数に出来るだけ早く到達させたいと思います。

モーターはかける電圧に応じて力を発生するので、円盤を狙いの回転数にするには、モーターにかける電圧をうまく調整すれば 良いと直感的には解りますが、具体的に電圧値をどれくらいにすれば良いでしょうか?


■フィードフォワード制御
モーターの出力特性と円盤の大きさ/重さが予め解っていたら、目標の回転数に合うモーターの電圧は算出することが出来ます。 しかし目標回転数に到達するまでに時間がかかったり、また仮に円盤の重さを測り間違ったり、円盤の回転を妨げるような 外乱(指で押さえる等)が入ったら、目標の回転数に到達しません。このように、予め狙いの値に到達するように操作量(ここでは電圧) を決めて制御することをフィードフォワード(F/F)制御といいます。



精度よく目標回転数に到達させるには、実際の回転数をセンサで計測して、目標回転数との偏差に応じてモーターにかける電圧を 変えてやれば良いです。ただしその電圧のかけ方の手法が様々あります。こういった目標値と実値の計測結果から操作量を変える 制御をフィードバック(F/B)制御といいます。以降の説明はすべてフィードバック制御です。

■ON/OFF制御
目標値と実値を比較し、実値が目標値に到達するまで電圧を与え、実値が目標値を上回ったら到達したら電圧をカットする手法です。 こうする事で早く目標値付近まで到達しますが、目標値到達した時点で電圧をカットしたのではオーバーシュートしてしまい、 目標値にピタリと一致することはなく振動を繰り返します。



■PID制御
ここで本題のPID制御についてです。PID制御もフィードバック制御の一つですが、PID制御は比較的簡単に構築出来る割に精度よくコントロールできるので、 広く使われている制御です。このPIDとは以下の事で、この3項の組み合わせで制御を行います。

 P:Proportional(比例)
 I:Integral(積分)
 D:Differential(微分)


<P制御>
ON/OFF制御の様に実値が目標値に到達した時点で初めて電圧をカットするのではなく、目標値に近づくに従って電圧を下げていけば良い事が解ります。 こうして目標値と実値の偏差に応じて電圧を変化させるのをP制御といいます。



ただしP制御の弱点として、制御の対象物(1次遅れ系など)によっては、実値が目標値に対してある一定の偏差を持ち続けたまま 安定してしまう事があります(定常偏差)。この問題を解決するためにPI制御を用います。

<PI制御>
I制御は、目標と実の偏差を積算し続け、その積算量を制御量(電圧)に反映します。こうする事でP制御に見られたような定常偏差の 問題を解決する事ができます。



<PID制御>
PI制御でも制御性は高いですが、応答性と収束性の観点で更に改善する余地があります。目標値が急変した際等、偏差が広がった際には 早く収束するよう大きく制御量を変えたり、目標値に収束しそうになったら操作量を減じてブレーキのような役目を 果たすのがD制御です。具体的には、偏差の微分をとりその値に応じて制御量を変えます。

ただしこの制御の弱点として、微分はノイズの影響を受けやすく、例えば実値を計測する際にセンサからのノイズが入っていたりすると、 上手く制御できなくなるので注意が必要です。



以上がPID制御の概念です。次に具体的なPID制御の設計方法を説明いたします。









サブチャンネルあります。⇒ 何かのお役に立てればと

関連記事一覧



制御理論(古典)

PID制御設計

ゲイン設定方法
実験編
ステップ応答法

限界感度法
極配置法
考え方
P制御+1次遅れ

PI制御+1次遅れ

PID制御+2次遅れ
安定判別法:ボード線図
考え方

P制御+1次遅れ系

古典制御の応用