ボード線図での安定判別法



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最終更新日:2017/4/29          

ボード線図による安定判別法を使ったPID制御のゲイン設定方法を説明します。

先ず、安定判別法の手順としては、フィードバック系の一巡伝達関数のボード線図を描き、そこから位相余裕、ゲイン余裕を求めることで、 安定性を判断します。具体的な説明をしていきます。

■一巡伝達関数
このフィードバック系を考えたときの一巡伝達関数を考えます。一巡伝達関数の説明はこちら



ここでは、一巡伝達関数を以下とします。



■ボード線図
上記伝達関数をScilabを使って描きます。Scilabによるボード線図の描き方はこちら
ボード線図から対象物が安定かどうかを判別するには以下の考え方があります。

<ゲイン余裕>
位相が-180°の時のゲインが、0dBより小さい程安定しており、0dBからの距離をゲイン余裕といいます。 この場合のゲイン余裕は9.5dBです。(ゲインはマイナスだが、ゲイン余裕はプラス)

<位相余裕>
ゲインが0dBの時の位相が、-180°より大きい程安定しており、その時の-180°からの距離を位相余裕といいます。 この場合の位相余裕は44°です。(位相はマイナスだが、位相余裕はプラス)



■動作確認①
scilabで以下の様に設計し、フィードバックの動作確認を行います。

シミュレーション結果は以下のとおり。入力値との若干の開きは有りますが、出力値は安定しているのが解ります。




■動作確認②
次に以下一巡伝達関数の安定判別を行い、フィードバックループの動作確認をしてみます。



ボード線図で表現すると、ゲイン余裕及び位相余裕はマイナスとなっており、不安定であることが解ります。



シミュレーション結果、出力は発散しているのが解ります。




■フィードバックゲイン設定の考え方
考え方としては、フィードバック系の一巡伝達関数が安定になる様にゲインを設定すれば良いです。 ただし、ゲイン余裕も位相余裕も大きいほど安定度は増しますが、大きすぎると応答が遅くなりますし、 逆に応答性を早めようとしたら、フィードバックゲインを非常に大きな値を設定する必要があったり、 実現性は難しくなります。

一般的に、サーボ系の安定余裕の目安は以下とされております。

 ゲイン余裕:10~20[dB]
 位相余裕 :40~60[°]

以上が安定判別方法の説明ですが、次に具体的なゲイン設定方法について説明します。こちらをクリック。









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