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公開日:2017/11/21 , 最終更新日:2019/5/12
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前提知識
・内部モデル制御(IMC)について
・Scilabの使い方
・PID制御
こちらで内部モデル制御(IMC)について説明しましたが、ここではIMCとPID制御の関係について説明します。
結論をいうと、IMCからPID制御へ等価な動作を確保したまま変換が可能で、それでいてIMCはPIDにはないメリットがあります。順を追って説明します。
まずIMCの形は以下でした。
ここでFP-1への入力をaと置くとaは上式の様に表すことが出来ます。次に上記は以下の様に表すことが出来ます。
これが等価であるという事を確認するには、FP-1への入力aが同じ式だということを確認すれば良いです。
更にこれは以下の様に変形出来ます。伝達関数の結合方法はこちらを参照。
ここで、制御対象物P、及びフィルタFをそれぞれ以下の様に定義します。
上記より、
となりました。ここでPID制御の一般系は以下となりますので、PID制御と等価にすることが出来ます。
となります。
■シミュレーションで確認
IMCとPIDの動作をシミュレーションで比較します。制御対象物Pは一次遅れ系とします。パラメータは以下。
T=0.5, K=1, t=0.1
Scilabでの設計結果は以下のとおり。
シミュレーション結果は以下のとおり。制御結果は一致しています。また2秒の時点で制御対象物に外乱を与えてますが、
どちらもきちんと収束しているのが解ります。
■IMCの利点
上記比較結果よりPID制御でもIMCと同様の制御結果を出すことが出来ますが、IMCの利点を以下に挙げます。
①フィルタ定数tを調整するだけで応答性を決める事ができ、ゲイン設定が容易である。
②ワインドアップ対策が不要。
ただし②は、PID制御の応用形の速度型PID制御でも対応可能です。
<ワインドアップとは>
詳細は上記の速度型PID制御のところで説明しておりますが、実際に制御対象物をコントロールする場合、制御するコントローラの制約などによって、操作量に制限がかかる場合があります。
PID制御では目標値にいつまでも収束しない場合、I項としては補正値がどんどん積みあがっていきます。この状態をワインドアップといいます。これを防ぐためにはPID制御は諸々の処置が必要ですが、
IMC制御ではそれが不要になります。具体的に検証いたします。制御モデルは以下のとおり、制御対象物への入力を0.9に制限しております。
シミュレーション結果は以下のとおり。制御対象物への入力が制限されているので、目標値に追従しないのはIMC制御、PI制御どちらも同じですが、注目したいのは入力が変化した時の動作で、
PI制御は追従するのが遅くなっています。
この原因はPI制御のI項が溜まっている為です。
以上。
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