ハイブリッド車の加減速運動のプラントモデル



自動車工学

プラントモデル

公開日:2020/12/27         

前提知識
 ・電気自動車の加減速運動モデル
 ・ハイブリッドシステム
 ・WLTCモード


■ハイブリッド自動車の加減速運動モデル
こちらで説明した電気自動車の加減速運動モデルをベースに、同様に前方に加減速するハイブリッド自動車のモデルを作ります。 ハイブリッドのタイプはシリーズハイブリッドになります。



モデルの構成は以下のとおり。



<目標モータートルク算出モデル、車両運動モデル>
こちらで説明したものと同じものを使用しています。車速を目標車速に追従するようにPID制御でトルクコントロールしており、車両運動モデルは与えられたトルクから車速を演算しています。

<目標エンジントルク/回転数算出モデル>
目標モータートルクを実現するための出力が、バッテリーからの出力だけでは賄えない時、またはバッテリーの容量が低下してきた時にエンジンを運転して発電します。 エンジンは駆動軸と繋がっていないため、自由に回転数とトルクを決める事ができるので、燃費が最も良い領域で運転させる方が良いです。 ただし低車速時にエンジンをたくさん回すと、ドライバーにとっては不快な音になるので、車速と目標トルクに応じて目標回転を上げていきます。



<エンジン/ジェネレータモデル>
モデル簡素化のため、エンジントルク/回転数は目標エンジントルク/回転数の一次遅れで実現できるとします。 エンジントルクと/回転数に対して発電効率を掛けてジェネレータの出力が決まります。 また燃費計算用として、BSCF(燃料消費率)から燃料消費量を算出します。



<モーターモデル>
こちらで説明したモーターモデルをベースに、ジェネレータの発電量を考慮したものになっており、 実現できるトルクはバッテリーとジェネレータの出力によって制限されます。



<バッテリーモデル>
こちらで説明したバッテリーモデルをベースに、ジェネレータの発電量を考慮したものになっており、 モーターによる放電量とジェネレータによる充電量の収支でバッテリー容量が決まります。



■Scilabによる設計、シミュレーション結果
<Scilabモデル>
こちら⇒car3.zip
※参考:pythonのプログラムはこちら⇒evcar.zip

<パラメータ>
NISSAN キックス(2020年調べ)の特性を入れてます。一部メーカー公表値ではなく私の概算があります。cd値や前面投影面積から走行抵抗を求める方法はこちら



<シミュレーション結果>
以下のとおり。車速はWLTCモードを入力しています。



<燃費のメーカー公表値との比較>
キックスの燃費のメーカー公表値は21.6km/Lであるのに対し、シミュレーション結果は約1480秒時点(国内は1480秒までの測定のため)で約23km/Lと、シミュレーション結果の方が良い結果になりました。 この理由は以下パラメータが概算値あるいは私が「これくらいかなぁ」と適当に入れた値であるからです。

 ・ BSFC
 ・ 車両消費電流
 ・ 走行抵抗
 ・ モーター/ジェネレータの発電効率
 ・ バッテリーの単位時間当たりの充放電可能量









サブチャンネルあります。⇒ 何かのお役に立てればと

関連記事一覧



自動車工学

プラントモデル