オクターブ分析とは, FFT分析との違い



デジタル信号処理

公開日:2023/8/19         

<前提知識>
 ・周波数分析(FFT分析)の方法
 ・デシベル


■オクターブとは

オクターブとは、音楽の「ド」から次の「ド」までの8度音程のことです("オクタ"は8の意味)。1オクターブ上は周波数が倍の音程になります。 以下は88鍵盤の音階と周波数になります。

<ピアノ88鍵盤の音階と周波数>

■オクターブ分析とは, FFT分析との違い

オクターブ分析とは、音の大きさを周波数分析する手法の一つです。他の周波数分析の手法にFFT分析があり、 FFT分析との違いは分析する周波数の幅が異なり、FFT分析は周波数が等間隔でオクターブ分析に比べて細かい(場合が多い)のに対して、 オクターブ分析は周波数が等比的でFFT分析に比べて荒い(場合が多い)のが違いです。周波数分析に高速フーリエ変換を使う点はどちらも同じです。

人間は音の周波数を等比的に感じやすいため、周波数を等比的に分析するオクターブ分析の方が音の分析に適していると言われています。



オクターブ分析の周波数幅は人間の可聴領域である1Hz~20000Hz (多くの人は20Hz以下は聞こえない)、 その幅の中で周波数を等倍毎に分割する1/1オクターブ分析と、より周波数を細分化して分析する1/3オクターブ分析があります。 なお上記で説明した音楽の世界の1オクターブとは周波数が若干異なります。

<中心周波数>

■オクターブ分析手法の概要

オクターブ分析手法の流れは以下のとおり。計測器で取得した生の音圧(単位はPa)に対して、周波数毎に成分を分解するためにオクターブバンドフィルタを通します。 その後、高速フーリエ変換を用いて周波数分析を行います。その結果に対し、デシベル変換と聴感補正を行う事で分析結果を得ることができます。


<オクターブバンドフィルタとは>

オクターブバンドパスフィルタとはバンドバスフィルタの一種で、中心周波数から外れるに従い減衰していく特性を持っています。 下記は「JIS C 1513」に従った、1/3オクターブバンドフィルタのクラス1の特性になります。


<聴感補正とは>

聴感補正とは、周波数に応じた音圧レベルの補正値のことで、低周波数の方が人間は音を感じにくいという特性を表現しています。 特性は以下のとおり。










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